アート作品は、ただ単に壁に飾るだけではなく、それ以上の影響を与えうるというのはご存知だろうか?例えば、アートを眺めているだけで、ストレス解消や疲労回復に役立つという。また、自分に語りかけてくるような素晴らしいアートを数分眺めるだけで、心の快楽中枢にプラスの影響を与え、考え方が変わることもあるそうだ。さらにビジネス面では、職場にビジュアルアートを飾るだけで、社員の生産性と幸福感を高めてくれるかもしれない。
この記事では、アートと共に暮らすことで、私たち人間の生活に良い変化をもたらすという4つのメリットを紹介しよう。
1. 日常から逃避できる
ストレスを過度に感じているという方は、早速日常にアートを取り入れて、ストレス解消やモチベーションアップにつなげてみよう。Psychology Todayのジャシンタ・フランシス氏は、「のどかな木々が点在する風景画や水景色のアートは、特に心を落ち着かせるのに有効だろう」と述べている。自然あふれる田舎まで遠出ができないときは、ネイチャーアートや青と緑の風景画を見つめると、大きな効果が得られるかもしれない。
2. 治療効果を高める
アートへ没入することで、治療効果を促進することができるかもしれない。イギリスの団体「paintings in hospitals」では、モダンアートを病院内に飾ったところ、スタッフの満足度および、患者の健康や幸福度が向上したという。また、とある医療機関でオリジナルアートを展示したところ、患者の平均入院期間が短くなり、薬の使用量も減ったという研究結果も出ている。Huffington Postのジェームス・クリア氏の記事によると、アメリカの慢性疾患患者30人以上を対象にした研究では、ビジュアルアートの制作に参加することで、病気から意識を遠ざけ、苦痛や抑うつ感情を軽減し、治療効果を向上させることがわかったそうだ。気分転換したいときには、筆やペンを手に取って、絵を描いてみてはいかがだろうか。
3. 心を豊かにし、心を開く
アートを鑑賞することで、見たままのものを理解しようとすることで、他人や体験とより強くつながることができる可能性がある。批判的思考を養い、自己認識を高められ、結果的に自分のありのままの感情を表現しやすくなるのだ。The Telegraph紙のロバート・メンディック氏によると、セミール・ゼキ博士は2011年にユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにて、ボランティアの参加者に対して著名な画家による名画コレクション30点を提供するという実験を行ったそう。素晴らしい芸術作品を鑑賞すると、快楽の感情に関連する脳の領域の血流が定量的に増加し、時には10%も増加したことが、脳スキャンによって確認された。さらに、アーカンソー大学の教育学部では、クリスタルブリッジ美術館へ訪れた学生を対象にした調査が実施された。その結果、美術館という環境でアートに触れることで、共感力、寛容性、批判的思考力の向上など、知的・感情的な効果が長期的に得られるということが判明した。
4. 生産性が向上する
労働環境や職場空間にアートを取り入れることは、ワークプレイスデザインを考慮するうえで、価値ある投資となるかもしれない。The Guardian紙のカースティ・ブリューワー氏は、エクセター大学のクレイグ・ナイト博士の研究に基づくと、アートや植物で満たされた”豊かな”環境で働く人は、そうでない”乏しい”環境で働く人よりも15%以上仕事が速く、全体的に健康であったと述べている。また、オフィスのどこにアートを配置するかというのを社員自身に選んでもらった場合、仕事の生産性が約30%も向上したそうだ。